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局あげてやらなければとても成り立ちません。そうしますとまず第一に市民の皆さんへのサービスがストップし、予算も膨大なものになります。別にお金が、予算がかかるからボランティア社会ということではないのですが、どうしてこのように欧米と日本とは違うのでしょうか。最初は宗教上の違いで、そういう社会だからもともと素地があり、日本とは違うのだと思っていたのですが、どうもそうではないようです。
思想は違いますが、昔から日本にもボランティア社会というのはたくさんありました。それは村落共同体や、町でも消防団とか現在でも続いているわけです。
しかしどうして私たちは今、現在の問題である老人介護、ごみの問題、ベビーシッターの問題等もっといろいろなことに問われないのか。さらに言わせてもらえば、大きな会議を開催した場合にボランティアがどんどん参加して手伝うことにならないのか、ということをきっかけにいろいろ考え始めました。
また1995年1月17日の阪神・淡路大震災で、ボランティアは特別な人が、エネルギーを持った人がやる特別な活動という意識がくつがえされました。多くの若者が、とにかくリュックサックを背負って歩いて、バイクに乗って被災地に駆けつけてくれました。そしてボランティア人員が100万人を超えるような活動になったということは、日本の社会にもボランティア活動が根付く要素があるのだなあと感じました。これをうまくシステム化していくと、本当にいい方向になっていくのではないかと思います。どういう方向に行くかは、いろいろな方向がありますので、今後考えていかなければならないという気がいたします。

 

●日本人のボランティア意識は?

 

NHKの放送文化研究所が1994年6月に16才以上3600人を対象に、ボランティア社会について世論調査を行っております。これは阪神・淡路大震災の前ですので少し変わってきているかも知れません。まず「ボランティアをしてみたいか」という問いに59%の方が「ボランティア活動に参加したい」と答えています。しかし「現在ボランティアを何かやっています」という人は9%弱。1割に満たないわけです。
今日お集まりの方々の殆どは、ボランティア活動をされていると思いますが、ボランティア活動を身近で必要なものと考えており、ボランティアをしたい人も半分強の6割ぐらいに及んではいるのですが、実際に活動している人は9%というギャップの大きさに驚きます。
また「あなたはボランティア活動をしている人についてどう思いますか」という間いがあります。「時間やお金にゆとりがあって献身的に活動する特別な人」だと思っている人は約30%。そうではなくて「仕事や家事の合間に気軽に活動する普通の人」と考えている人は多く66%です。全体の2/3の方は、もう今の時代はボランティアというのは特別な人でもなんでもないという意識が大部分を占めており、私の考えと合ってるのではないかと思っています。この調査で従来ボランティア活動に伴っていた自己犠牲や無料奉仕といったイメージが薄れてきたことがよく

 

 

 

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